大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第三小法廷 昭和56年(あ)950号 判決

主文

本件各上告を棄却する。

理由

弁護人近藤俊昭、同鈴木武志、同中村真一、同山崎惠の上告趣意のうち、憲法三一条、三三条、三五条違反をいう点は、本件の捜索差押、逮捕の手続に所論の違法は認められないから、所論は前提を欠き、判例違反をいう点は、原判決は所論引用の各高等裁判所判例と実質において相反する判断をしたものでないことが明らかであるから、所論は理由がなく、その余の点は、憲法二一条違反をいう点を含め、その実質はすべて単なる法令違反の主張であって、刑訴法四〇五条の上告理由にあたらない。

なお、いわゆる迎撃形態の兇器準備集合罪において共同加害目的があるというためには、行為者が、相手方からの襲撃の蓋然性ないし切迫性を認識している必要はなく、相手方からの襲撃のありうることを予想し、襲撃があった際にはこれを迎撃して相手方の生命、身体又は財産に対し共同して害を加える意思を有していれば足りると解するのが相当であって、これと同旨の原判断は相当である。

よって、刑訴法四〇八条により、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 横井大三 裁判官 伊藤正己 裁判官 木戸口久治 裁判官 安岡滿彦)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例